
2026年を見据えたドバイ不動産投資:オフプラン物件で避けるべき5つの落とし穴
ドバイでの不動産投資は魅力的ですが、特にオフプラン物件においては注意すべき「落とし穴」が存在します。2026年に向けて、優良物件とそうでない物件との差が大きくなると予測されており、開発業者の販売戦略もより積極的になっています。高額な投資における失敗を避けるため、契約前に確認すべき5つの重要なポイントをご紹介します。
ドバイ不動産投資で避けるべき5つの落とし穴
1. ブランド物件の過剰評価
最近、ドバイでは「ブガッティ」「カヴァリ」「ヴェルサーチ」といった高級ブランドの名前を冠した物件が急増しています。しかし、これらの「ブランド物件」には注意が必要です。多くのケースで、あなたは実際の価値ではなく「ロゴ」に対して対価を支払っている可能性があります。
- 高すぎる価格設定: 同一エリアの非ブランド物件と比較して、ブランド物件は平方フィートあたりの価格が30%から50%も高くなることがあります。この価格差は、ブランド名による上乗せであり、実際の建物の品質や間取り、コミュニティ価値に大きな違いがない場合がほとんどです。
- 投資対効果の低さ: ブランド名が賃貸利回りや将来の売却価格に影響を与えることはほとんどありません。現在、30,000戸以上のブランド物件が建設中であり、その希少性は失われつつあります。
もし、ブランド名が非凡でないレイアウトや仕上げ、コミュニティ価値に対して不当に膨らんだ価格を正当化するために使われていると感じたら、その物件からは手を引くべきでしょう。
2. ショッピングモールでの積極的な販売促進
2022年のコロナ禍明けには、広告なしでも飛ぶように売れていたドバイのオフプラン物件ですが、2025年には状況が変わっています。開発業者がショッピングモールにブースを構え、コールセンターから電話をかけ、iPhoneやバウチャーのような景品を付けて販売を促進しているのをよく見かけます。これは何を意味するのでしょうか。
- 在庫消化の難化: このような積極的な販売は、物件の在庫を捌くのが以前よりも難しくなっている証拠です。
- 価格の正当性の低下: 需要がかつてのように「盲目的」ではなくなり、価格設定が以前ほど正当化されなくなっています。
- 即入居可能物件との価格差: 現在、オフプラン物件が同エリアの即入居可能な物件と同じか、それ以上の価格で販売されているケースが見られます。オフプラン物件は完成までに3~4年かかる上、その間は賃貸収入も得られず、さらに過払いになっている可能性もあります。
もちろん、すぐにローンを組めない国際的な購入者にとって、オフプラン物件は魅力的に映るかもしれません。しかし、これは市場のごく一部のニーズであり、多くの投資家にとって最適な選択とは言えません。もし「うますぎる話」と感じる物件や、開発業者が販売に必死になっている様子が見られたら、冷静に判断することが重要です。
3. 「グリーン開発」の甘い言葉にご用心
2025年現在、「エコフレンドリー」「グリーンオアシス」「都市の森」といった「グリーン開発」のコンセプトが人気を集めています。しかし、すべての開発業者が持続可能なプロジェクトを実現できるわけではありません。
- 実績の確認が必須: ドバイには、長年の実績を持つエマール(Emaar)のような優良開発業者が手掛けた「ザ・サステイナブル・シティ」や「ドバイ・ヒルズ」など、成功したグリーンコミュニティが存在します。しかし、無名の開発業者がCG画像で「気候制御ラグーン」や「熱帯雨林ドーム」を宣伝している場合、注意が必要です。
中規模や新規の開発業者が壮大なグリーン開発を約束している場合、以下の質問を投げかけてみましょう。「資金源はどこか?」「どのように維持管理されるのか?」「過去に完成させたプロジェクトを見せてほしい」。これらの質問に明確に答えられない場合は、契約を避けるべきです。
4. デベロッパーの資金力とエスクロー口座の確認
多くの人が見落としがちなのが、開発業者の資金力とエスクロー口座の管理体制です。開発業者の資金が不足すれば、プロジェクトが頓挫するリスクがあります。
- RERA登録とエスクロー口座: 物件がドバイ土地局(RERA)に登録されているか、適切にエスクロー口座が開設されているかを確認しましょう。購入者の支払金が開発業者に直接渡るのではなく、第三者機関が管理するエスクロー口座に預けられることで、資金の不正使用を防ぐことができます。
- 過去の実績: 「これまでにいくつのプロジェクトを完成させているか?」「同種のプロジェクトを期限通りに、高い品質で引き渡した実績はあるか?」といった質問をしましょう。2018年には購入者の資金を不適切に使用したことで資産が差し押さえられた開発業者の事例もあり、同様の事態はいつでも起こり得ます。
- 入居者へのヒアリング: もし当該開発業者が過去に完成させた物件がある場合、実際に足を運び、住人に話を聞いてみるのも有効な手段です。住み心地や物件の品質、エリアに対する満足度などを尋ねてみましょう。開発業者の回答が曖昧だったり、「信頼してほしい」としか言わない場合、あるいは既存物件の住人が不満を抱えている場合は、危険信号です。
5. 売買契約書(SPA)に潜む落とし穴
不動産購入において最も重要な契約書である売買契約書(SPA: Sales and Purchase Agreement)は、多くの場合、開発業者を保護するように作成されています。購入者にとって不利な条項が含まれていることがあるため、契約書の内容を慎重に確認することが不可欠です。
- 転売制限: 「物件価格の40%から50%、あるいはそれ以上を支払い終えるまで転売できない」といった制限が課されている場合があります。
- 短期賃貸(Airbnb)の禁止: コミュニティ全体や特定の建物内で、短期賃貸(Airbnbなど)が禁止されていることがあります。この条項は「ホテルとしての賃貸は許可されない」など、一見して短期賃貸と分かりにくい表現で記載されている場合もあります。
- 高額な管理手数料やNOC手数料: 転売時に発生する管理手数料やNOC(No Objection Certificate)取得費用が高額であるにもかかわらず、契約書に詳細が明記されていないことがあります。
これらの落とし穴は、あなたの投資計画に大きな影響を与える可能性があります。契約書にサインする前に、必ず専門家のアドバイスを受け、すべての条項を理解するように努めてください。
結論
ドバイの不動産市場は成長していますが、投資を成功させるためには、事前の徹底した調査とリスクの見極めが不可欠です。特にオフプラン物件においては、今回ご紹介した5つのレッドフラッグに注意し、賢明な判断を下すことで、将来的なトラブルを避け、成功へと繋がる投資を実現できるでしょう。