
2026年、ドバイ不動産は「買い手市場」になる?供給データが示す真実
はじめに
ドバイの不動産市場に関心を持つ多くの投資家や購入希望者は、「2026年には新しい住宅が大量に供給され、価格が手頃になる『買い手市場』が到来する」という予測を耳にしているかもしれません。しかし、実際のデータは異なる物語を伝えています。本記事では、専門家の分析を交えながら、2026年のドバイ不動産市場の真実に迫ります。
計画と現実のギャップ:ドバイ住宅供給の真実
市場の予測は、しばしば計画されている住宅の戸数に基づいていますが、実際に完成し、引き渡される物件数はそれを大きく下回る傾向にあります。この「計画と現実のギャップ」が、2026年の市場を理解する上で重要な鍵となります。
国際的な不動産会社モーガンズ・インターナショナル・リアルティが追跡するデータによると、2026年にドバイで計画されている住宅供給戸数は71,613戸ですが、実際に引き渡しまで至るのはその半数以下である34,740戸に留まると予測されています。これは、市場の一般的な見通しや近年の供給実績を大幅に下回る数字です。
この傾向は過去のデータからも明らかです。
- 2025年の実績:当初37,171戸の住宅供給が予測されていましたが、最終的に引き渡されたのはその約62%に過ぎませんでした。
このように、計画された物件がすべて市場に出回るわけではないため、供給が需要を大幅に上回る状況は考えにくいのが現状です。
専門家が分析する市場動向
モーガンズ・インターナショナル・リアルティの創設者兼CEOであるエリアス・ハヌーシュ氏は、この状況について次のように述べています。
「現実的な引き渡し戸数は、市場の吸収能力を圧倒するレベルには達していません。したがって、市場が構造的に買い手有利に転換する状況にはないと言えます。」
ハヌーシュ氏によると、2026年に予測される引き渡し戸数(約34,740戸)は、ドバイの過去5年間の年間平均引き渡し戸数(約35,500戸)をも下回っています。完成済み物件の在庫が限られ、需要が安定している限り、不動産価格が全面的に下落することは期待しにくいでしょう。
2026年に賢く購入するための戦略
では、2026年のドバイ不動産市場で、購入希望者はどのように行動すべきでしょうか。専門家は、市場全体を「買い手市場」と捉えるのではなく、より選択的なアプローチが必要だと指摘します。
「買い手市場」ではなく「選択的市場」
2026年の市場は、すべての購入者にとって有利な状況ではありません。むしろ、どこで、何を、いつ買うかを知っている「情報に通じた購入者」が有利になる「選択的市場」と表現するのが適切です。交渉力が重要になる特定の機会を見極める必要があります。
機会はどこにあるのか?
専門家は、特定のエリアで短期的な購入のチャンスが生まれる可能性を指摘しています。具体的には、以下のような特徴を持つエリアです。
- 高密度な中間層向け市場:複数の投資主導型プロジェクトが同時期に完成するエリア。
このようなエリアでは、一時的に供給が増えるため、購入者は交渉の余地を見つけやすくなります。しかし、その機会は非常に短く、初期の供給分が吸収されると、すぐに競争が激化し、交渉力は失われてしまいます。
最大のリスクとは?
2026年の市場における最大のリスクは、物件を高く買いすぎることや、購入を待ちすぎることではありません。専門家が警告するのは、「誤った物件を選んでしまうこと」です。
供給予測と実際の引き渡しデータの両方を理解し、長期的に価値を維持する可能性の高い物件に焦点を当てることが、賢明な投資判断につながります。
まとめ
2026年のドバイ不動産市場は、広く期待されているような全面的な「買い手市場」にはならない可能性が高いです。住宅の供給計画と実際の引き渡し戸数には大きな隔たりがあり、需要は依然として堅調です。
しかし、悲観する必要はありません。市場の動向を正確に理解し、特定のエリアやタイミングに注目することで、賢い購入者は依然として良い機会を見つけることができます。重要なのは、表面的な予測に惑わされず、データに基づいた慎重な物件選びを行うことです。
参考記事: Is 2026 really a buyer’s market? Dubai’s delivery data tells a different story - Khaleej Times