
ドバイ不動産市場の最新動向:中間所得層が手頃なアパート需要を牽引
はじめに
ドバイの不動産市場は、2024年10月に若干の落ち着きを見せたものの、依然として堅調さを維持しています。特に、中間所得層の住宅購入者による手頃な価格のアパートへの需要が市場を力強く支えており、その回復力と奥深さを示しています。
本記事では、最新のデータを基に、ドバイ不動産市場の現状と、市場を動かす中間所得層の動向について詳しく解説します。
ドバイ不動産市場の概況
2025年の年初から10ヶ月間で、ドバイの不動産取引は177,519件、総額5,549億ディルハムに達し、都市の不動産セクターの強固さを示しています。
主要セクターの動向
- 完成済み物件(プライマリー市場): 年初からの累計で、取引額が前年比74%、取引件数が63%増加し、市場をリードしています。
- オフプラン物件(セカンダリー市場): こちらも好調で、取引額が45%、取引件数が52%増加しています。
2024年10月単月では、主に完成済み物件市場で取引額が18%、件数が20%減少したことにより、全体として緩やかな減速が見られましたが、市場全体のトレンドは依然として上向きです。
取引が活発なエリア
特に取引が活発だったエリアは以下の通りです。
- Al Yelayiss 1: 取引額が約7%増加し、取引件数はわずか3件から153件へと急増しました。
- Nad Al Sheba First: 全体の取引額の9%を占め、2番目にランクインしました。
- Al Barsha South Fourth: 2024年10月の取引額は14億ディルハムに達し、前年同月の7億6,800万ディルハムから大幅に増加しました。
- ブルジュ・ハリファ地区: 取引額が前年比で17%増加しました。
市場を牽引する中間所得層の役割
現在の市場動向を理解する上で、中間所得層の住宅購入者の役割は非常に重要です。特に住宅ローン市場のデータから、その傾向が明確に見て取れます。
住宅ローン市場のデータ
2024年10月には、3,999件の取引で総額159億8,000万ディルハム相当の住宅ローンが記録されました。特筆すべき点は以下の通りです。
- 取引件数の増加: ローン総額は前年比で1%減少しましたが、取引件数は10%増加しました。これは、より低い価格帯で市場に参入する購入者が増えていることを示唆しています。
- 平均ローン額の減少: 1戸あたりの平均ローン額は417万ディルハムに達し、2024年10月と比較して16%減少しました。
中間所得層の購入動向
住宅ローン申請者のデータによると、月収20,000〜40,000ディルハムの層が全体の約30%を占め、市場で最大の単一所得層となっています。この層の特徴は以下の通りです。
- 購入目的: 81%が自己居住用の住宅を求めており、投資目的は16%です。
- 物件タイプ: 購入物件の88%以上がアパートであり、手頃な価格帯の物件を圧倒的に好んでいます。
このデータは、家賃の上昇を避け、長期的な資産を確保するために、より多くの居住者が手頃なアパートの購入を選択していることを示しています。
まとめ:成熟期に入るドバイ不動産市場
専門家は、現在のドバイ不動産市場が、投機的な高級物件の購入よりも、手頃な価格とエンドユーザーの需要によって取引件数が増加する「成熟期」に入りつつあると分析しています。
中間所得層によるアパート需要の増加は、市場の安定性を示す重要なトレンドです。家賃上昇への対策や資産形成の手段として、より多くの人々がアパートでの生活の現実的かつ経済的な利点に注目しています。今後もこの傾向は、ドバイ不動産市場の重要な基盤となるでしょう。
参考記事: Mid-income buyers in Dubai drive demand for more affordable apartments - Khaleej Times