
ドバイ不動産市場の最新動向:100万〜300万ディルハムの中価格帯物件が市場を牽引
はじめに
ドバイの不動産市場は、世界中の投資家や居住希望者から注目を集めています。特に2025年第3四半期のデータによると、特定の価格帯の物件が市場全体の成長を力強く牽引していることが明らかになりました。本記事では、ドバイ不動産市場の現在の中心となっている「中価格帯物件」の動向と、その背景にある要因を専門家の見解を交えながら分かりやすく解説します。
市場を牽引する中価格帯の住宅
現在のドバイ不動産市場で最も活発な動きを見せているのは、100万から300万ディルハムの価格帯に属する、いわゆる「中価格帯」の物件です。
2025年第3四半期の取引データによると、この価格帯の物件が全体の取引件数の54.47%(29,292件)を占め、市場の需要を支える中心的な役割を担っています。この傾向は、実際に居住を目的とするエンドユーザーと、投資を目的とする投資家の両方から強い需要があることを示しています。
不動産会社Springfield PropertiesのCEOであるFarooq Syed氏は、「ドバイの不動産は世界で最もバランスの取れた市場の一つになった」と述べ、この中価格帯セグメントが市場の安定性において重要な役割を果たしていると指摘しています。
中価格帯物件が人気を集める背景
この需要の増加には、主に2つの要因が挙げられます。
- 人口の増加: ドバイへの移住者や居住者が増え続けていることが、住宅需要全体を押し上げています。
- UAEゴールデンビザへの関心: 長期居住が可能となる10年間の「ゴールデンビザ」制度が、不動産購入を通じたビザ取得を目指す人々からの需要を喚起しています。
価格帯別の市場動向
中価格帯が市場をリードする一方で、他の価格帯もそれぞれ安定した需要を見せており、市場全体のバランスの良さを示しています。各価格帯の取引割合は以下の通りです。
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100万ディルハム未満(低価格帯)
- 取引全体の25.30%(13,607件)を占めます。
- 初めて住宅を購入する層や、高い賃貸利回りを求める投資家から根強い人気があります。
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300万〜500万ディルハム
- 取引全体の10.68%(5,742件)を占めます。
- 既存のコミュニティ内で、より広いヴィラや高級アパートを探す家族層からの需要に支えられています。
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500万ディルハム以上(高価格帯・超高級物件)
- 500万〜1,000万ディルハムの物件が7.02%(3,776件)、1,000万ディルハムを超える超高級物件が2.52%(1,355件)を占めます。
- 有名ブランドが手掛ける「ブランドレジデンス」や、眺望の良いウォーターフロントの物件に需要が集中しています。
まとめ
2025年のドバイ不動産市場は、100万〜300万ディルハムの中価格帯物件が中心となって活況を呈しています。人口増加とゴールデンビザ制度がこの需要を後押ししており、投資家とエンドユーザー双方にとって魅力的な市場環境が形成されています。
また、低価格帯から超高級物件まで、各セグメントで安定した需要が見られることは、ドバイ市場の成熟度とバランスの良さを示していると言えるでしょう。今後もドバイの不動産市場は、多様なニーズに応える安定した市場として注目され続けることが予想されます。
参考記事: Khaleej Times - Dubai: Mid-range homes in Dh1-3 million range now driving property market