
ドバイの家賃・不動産価格は高騰している?生活費への影響と政府の対策を解説
ドバイの不動産市場の現状
ドバイが成長を続ける中、多くの人々が抱く疑問は「不動産価格がこのまま上昇すると、生活が維持できないのでは?」という点です。この懸念に対し、ドバイ政府は市場の公正性と安定性を確保するための包括的な戦略を積極的に進めています。
不動産価値の急騰は、ドバイにとって両刃の剣と言えます。世界中の投資家にとっての魅力を示し、堅調な経済を反映する一方で、住民の日常生活に直接影響を与える家賃の上昇を招いています。
しかし、データを詳しく見ると、より詳細な状況が明らかになります。近年の価格上昇にもかかわらず、ドバイは他の主要な国際都市と比較して、依然として手頃な価格の都市であり続けています。
世界の主要都市との比較
ドバイ土地局(DLD)の幹部は、2025年のモハメド・ビン・ラシード・リーダーシップ・フォーラムでのパネルディスカッションで次のように説明しました。
「ドバイでは、100万ドルで購入できる住宅の広さが、ニューヨークより58%、ロンドンより65%、シンガポールより55%も広くなっています。」
この事実は、ドバイが国際的なハブとしての競争力を維持していることを示しています。
市場の安定化に向けた政府の取り組み
ドバイ政府は、市場の過熱を防ぎ、競争力を維持するために、いくつかの革新的な措置を導入しています。
スマート賃貸指数(Smart Rental Index)
取り組みの中心となるのが、1年前に導入された「スマート賃貸指数」です。この指数により、市場セグメントごとの不動産価格に大きな差があることが明らかになりました。高級物件から経済的な物件まで、幅広い選択肢を網羅し、市場全体の状況を包括的に示しています。
政府は今後、この指数を商業セクターにも拡大し、ドバイの不動産エコシステム全体をより総合的に把握することを目指しています。
ドバイ土地局は、市場参加者間の中立性を保つことを重視しており、「政府として、売り手と買い手のどちらか一方を優先することなく、中立的な立場を維持する必要がある」と強調しています。
ドバイ不動産市場の驚異的な実績
ドバイの不動産市場は、目覚ましい実績を数字で示しています。
- 総取引額: 8月末時点で、総取引額は約5,950億ディルハムに達し、前年比で24%の大幅な増加を記録しました。
- 新規投資家: UAE市場には38万人の新規投資家が参入し、24%の増加となりました。
- 売上高: 売上取引だけでも4,140億ディルハムに達し、43%という驚異的な増加率を達成しました。
2025年の市場データ
不動産コンサルティング会社Betterhomesの最新レポートによると、2025年上半期のドバイの平均不動産価格は1平方フィートあたり1,582ディルハムに上昇しました。これは2024年下半期と比較して6%の上昇、2025年第1四半期からは3%の上昇を意味します。
住民の生活と企業の対応
不動産価格の急騰は、住民の生活費にも具体的な影響を及ぼしています。これに対応するため、UAEの雇用主は住宅手当を引き上げています。
世界的なコンサルティング会社Mercerによると、2025年の住宅手当の平均引き上げ率は前年比で4%でした。過去4年間、ドバイやアブダビの主要なコミュニティでは、家賃が一桁台後半から二桁台の割合で上昇しています。
企業の対応策として、以下のような傾向が見られます。
- 70%の企業が独立した住宅手当を支給
- 25%の企業が手当を給与に含めて支給
- 52%以上の雇用主が、高額な初期費用負担を考慮し、月払いではなく事前に住宅手当を支給
このように、ドバイの不動産市場は活況を呈していますが、政府による市場安定化策と企業の柔軟な対応により、国際的な競争力と居住の魅力を維持し続けています。
参考記事: Khaleej Times - Dubai: Will soaring rents, property prices affect residents' cost of living?