
ドバイ不動産市場の未来予測:2025-2026年の投資戦略を専門家が解説
はじめに
ドバイの不動産市場は、活発な観光業と旺盛な投資需要に支えられ、2025年もその力強い成長を維持すると予測されています。しかし、一方で20万戸にのぼる大規模な新規物件の供給が予定されており、市場の動向に変化をもたらす可能性があります。本記事では、専門家の分析に基づき、2025年から2026年にかけてのドバイ不動産市場の展望と、投資家が取るべき戦略について詳しく解説します。
活況を呈するドバイ不動産市場の現状
現在のドバイ不動産市場は、いくつかの重要な要因によって支えられています。
観光業の成長が需要を牽引
2025年上半期には、ドバイを訪れた観光客は前年比6%増の988万人に達し、ホテルの平均稼働率は80.6%という高い水準を記録しました。この観光業の活況は、短期賃貸物件への需要を直接的に押し上げています。
オフプラン物件の販売が好調
不動産販売も引き続き活発で、特に開発段階で販売される「オフプラン物件」が人気を集めています。2025年第1四半期における取引の69%がオフプラン物件で占められており、投資家の強い関心を示しています。都市全体の平均不動産価格は、1平方フィートあたり1,749ディルハムへと四半期比で3.7%上昇しました。
高級不動産市場の記録的な活況
特に高級不動産市場は過去最高の活況を見せており、2025年第2四半期には1,000万ドル以上の物件取引額が26億ドルに達し、超高級市場の新たな記録を樹立しました。
20万戸の新規供給がもたらす市場の変化
今後の市場を占う上で最も重要な要素が、新規物件の供給量です。専門家の予測では、2025年に70,452戸、2026年にはさらに133,041戸の物件が完成する見込みです。この供給増は、市場に以下のような影響を与える可能性があります。
- 価格調整の可能性:特に供給が集中する中間価格帯の市場では、10%から15%程度の価格調整が起こる可能性が指摘されています。購入者にとっては選択肢が増える好機とも言えます。
- 高級物件の価値維持:一方で、供給が限られ世界的な需要が高い高級物件は、その価値を維持し続けると予測されています。
投資家が注目すべき新たなトレンド
市場が変化する中で、投資家は新たなトレンドに注目する必要があります。
「質への逃避」とブランドレジデンス
今後は、物件の「質」がより一層重視されるようになります。以下の要素が物件価値を決定づける重要な判断基準となるでしょう。
- ブランド:信頼性の高いデベロッパーによる物件
- ロケーション:利便性や将来性の高い立地
- ESGへの配慮:環境や社会に配慮した持続可能性
特に、有名ブランドが手掛ける「ブランドレジデンス」は海外投資家からの人気が高く、現在約140のプロジェクトが存在します。これらの物件は、一般的な市場価格を上回る価値を持つ傾向にあります。
複合開発プロジェクトの安定性
オフィス、商業施設、住宅が一体となった複合開発プロジェクトも注目されています。ドバイのオフィス空室率はわずか7.7%と低く、賃料も上昇傾向にあるため、こうした多様な要素を持つプロジェクトは安定した収益と長期的なテナント確保が期待でき、景気変動に強いとされています。
ドバイの未来を形作る大規模プロジェクト
ドバイの地理的な魅力をさらに高める大規模プロジェクトも進行中です。
- パーム・ジェベル・アリの再開発:13.4kmに及ぶ新たな海岸線が生まれます。
- エキスポ・バレー:第一段階として532戸の住宅が供給され、2026年初頭から引き渡しが開始されます。
これらのプロジェクトは、投資対象を多様化させ、2026年にかけて需要をさらに広範囲に分散させることが期待されています。
まとめ:2025年以降のドバイ不動産投資戦略
ドバイの不動産市場は、力強い成長を続ける一方で、大規模な供給増という大きな変化の局面を迎えています。短期的な課題として、中間価格帯市場への供給圧力や、ローン金利・サービス料の上昇による購入負担の増加が挙げられます。
しかし、高級物件市場においては、土地の希少性、ゴールデンビザ制度の魅力、そして海外からの旺盛な需要に支えられ、引き続き記録的な活況が続くと予測されます。今後の投資サイクルで最も成功する可能性が高いのは、「ブランド力があり、環境に配慮し、優れた立地にある物件」と言えるでしょう。投資家はこれらのトレンドを的確に捉え、質の高い資産を選択することが、将来の成功に繋がります。