
【ドバイ不動産市場】家賃上昇が安定化へ。新規アパート供給増がもたらす賃貸市場の変化とは
ドバイの家賃市場に安定化の兆し
近年、上昇を続けていたドバイの賃貸市場ですが、ここにきて安定化の傾向が見られます。新規アパートの供給が増加したことにより、家主間の競争が激化し、借り手(テナント)にとってはより多くの選択肢が生まれています。本記事では、ドバイの賃貸市場で起きている変化について、初心者にも分かりやすく解説します。
市場安定化の具体的なデータ
不動産仲介会社Betterhomesの報告によると、2025年第3四半期(7月〜9月)の平均年間賃貸価格は、前年と比較すると4%の緩やかな上昇に留まりました。さらに注目すべきは、直前の四半期(4月〜6月)と比較すると15%という顕著な下落が見られた点です。これは、これまで続いていた急激な家賃上昇が一段落し、市場が落ち着きを取り戻しつつあることを示唆しています。
なぜ家賃は安定してきたのか?
市場安定化の最も大きな要因は、新しい物件の供給増加です。
新規物件の大量供給
不動産アドバイザリー企業Colliersのレポートによれば、2025年の第3四半期だけで約8,100戸のアパートと約1,650戸のヴィラが完成し、市場に供給されました。今後も多くの新規プロジェクトが控えています。
供給が増えることによる主な影響は以下の通りです。
- 家主間の競争激化:空室を避けるため、家主は魅力的な条件を提示する必要が出てきます。
- 借り手の選択肢拡大:借り手は多くの物件の中から、予算や希望に合った部屋を選びやすくなります。
賃貸市場の変化がもたらす影響
この市場の変化は、借り手と貸し手の双方に影響を与えています。
借り手(テナント)にとってのメリット
借り手は、より慎重に物件を選べるようになりました。以前のように急いで契約を決める必要性が薄れ、価格に対してより敏感になっています。物件の選択肢が増えたことで、家賃交渉の余地も生まれやすくなっています。
貸し手(家主)の対応
一方、貸し手はテナントを惹きつけるための努力を始めています。具体的には、物件のアップグレードやリフォームを行い、他の物件との差別化を図る動きが見られます。これにより、市場全体の物件の質が向上する可能性もあります。
まとめ
ドバイの賃貸市場は、新規アパートの供給増加を背景に、急激な家賃上昇期から安定期へと移行しつつあります。これにより、市場は特定のエリアや建物ごと、さらには部屋のタイプごとに細分化され、より複雑な様相を呈しています。借り手にとっては有利な状況が生まれつつあり、貸し手はテナント確保のために新たな戦略が求められるようになっています。今後のドバイ不動産市場の動向を引き続き注視していくことが重要です。
参考記事: Dubai rent growth slows as supply narrows gap between renewals and new leases - Khaleej Times