
UAE不動産市場の最新トレンド:深刻化する交通渋滞が「職住近接」の住まい選びを加速
はじめに
アラブ首長国連邦(UAE)では、経済成長と人口増加に伴い、交通渋滞が深刻な問題となっています。特にドバイでは、通勤ラッシュ時の混雑が人々の生活に大きな影響を与えており、住宅選びの基準にも変化が見られます。本記事では、交通渋滞を背景としたUAEの住宅市場における「職住近接」という新たなトレンドについて、専門家の見解を交えながら詳しく解説します。
深刻化するUAEの交通渋滞
UAE、特にドバイの住民にとって、交通渋滞は日々の生産性や生活の質に直結する重要な課題です。具体的なデータを見てみましょう。
失われる時間とその影響
国際的な交通データ分析企業であるInrix社の「Global Traffic Report」によると、ドバイのドライバーが交通渋滞によって失う時間は、2024年の35時間から2025年には45時間に増加するという報告があります。さらに、ドバイと北部の首長国間を通勤する人々に至っては、年間で約460時間もの時間を交通渋滞で失っているとされています。これは、実に年間60労働日分に相当する時間であり、個人だけでなく経済全体にとっても大きな損失です。
住宅選びの新たな基準:「職住近接」
このような状況を受け、UAEの住民は住宅を購入または賃貸する際に、これまで以上に「職場への近さ」を重視するようになっています。
時間と生産性を優先
多くの人々は、日々の通勤時間を短縮し、生産性を高めることを目指しています。そのために、たとえ住居スペースが少し狭くなったり、家賃や物件価格が多少高くなったりしても、職場の近くに住むことを選択する傾向が強まっています。これは、単なる利便性の追求から、生活の質を維持・向上させるための優先事項へと変化していることを示しています。
重視される周辺環境
職場への近さに加え、以下の要素も住宅選びの重要なポイントとなっています。
- 教育機関:子どもの送迎時間を短縮できる学校の近さ
- 商業施設:日々の買い物に便利なショッピング施設
- 娯楽施設:ジムや公園など、余暇を過ごすための設備
これらのアメニティが揃った住宅コミュニティは、移動に伴うストレスを軽減し、より充実したライフスタイルを実現できるため、特に人気を集めています。
不動産専門家の見解
不動産市場の専門家も、このトレンドが顕著になっていると指摘しています。
不動産仲介会社「haus & haus」のセールスディレクター、ハリソン・ラッカム=ビードル氏は、「UAEの人口が増加し続ける中で、交通渋滞は住民がどこに住むかを決める上で非常に大きな影響力を持つようになっています。たとえスペースや価格で妥協することになったとしても、職場への近さがより高い優先順位となっています」と述べています。
また、デベロッパー「HRE Development」の販売責任者であるアーメド・ハシシュ氏も同様に、「職場への近さは、かつての『あれば便利なもの』から『優先すべきもの』へと変わりました。多くの購入者は、たとえ予算を調整してでも、日々の摩擦を減らすことができる家を積極的に探しています」と分析しています。
まとめ
UAEにおける交通渋滞の深刻化は、人々のライフスタイルや価値観に変化をもたらし、不動産市場における「職住近接」という新たなトレンドを生み出しました。通勤時間を節約し、生活の質を高めたいというニーズは今後も続くと予想され、デベロッパーや不動産会社は、職場や主要な生活施設へのアクセスが良い物件を提供することが、ますます重要になるでしょう。
参考記事: Khaleej Times - UAE residents buying, renting homes closer to workplaces due to rising traffic