
ドバイの賃貸市場に変化の兆し 主要エリアで家賃が下落し借り手の選択肢と交渉力が拡大
ドバイの住宅賃貸市場において、多くの地域で賃料が下落傾向を見せています。不動産情報プラットフォーム「Property Finder」が発表したデータによると、2025年第3四半期から2026年第3四半期にかけて、主要な住宅地域の大半で提示賃料の中央値が前年同期比で値下がりしました。
市場に出回る賃貸物件の数が増加したことで、借り手にとっては選択肢が広がり、価格交渉がしやすい環境が整いつつあります。
多くの主要エリアでアパートメントの賃料が下落
今回の調査対象となったドバイの主要10地域のうち、9つの地域でアパートメントの賃料中央値が前年同期を下回る結果となりました。
賃料の下落が確認された主なエリアは以下の通りです。
- ダウンタウン・ドバイ
- ドバイ・マリーナ
- ビジネスベイ
- ジュメイラ・ビレッジ・サークル(JVC)
- アルジャン
- ドバイ・クリーク・ハーバー
- モハメド・ビン・ラシッド・シティ(MBR City)
- メイダン
- パーム・ジュメイラ
なお、調査対象の中で「ドバイ・ヒルズ・エステート」のみが賃料の変動を見せず、同期間を通じて横ばいを維持しました。
特に下落幅が大きかった人気エリア
アパートメント市場の中で特に大幅な下落を記録したのは、中心部として知られる以下のエリアです。
- ダウンタウン・ドバイ:前年比 21.7%下落
- ドバイ・マリーナ:前年比 16.1%下落
ダウンタウン・ドバイでは、特定の部屋タイプだけでなく、すべての広さの部屋で賃料が下がっており、単に小型の安価な物件が増えただけでなく、市場全体の価格設定が見直されたことを示しています。
賃料下落の背景にある「供給の増加」
賃料が軟調に推移している大きな理由は、賃貸市場に供給される物件数が急速に増えたことです。
2026年9月時点で、Property Finder上に毎日掲載される賃貸アパートの平均数は、2025年9月と比較して55.1%増加しました。一方で、入居希望者からの問い合わせ数の伸びは15.4%にとどまりました。
その結果、物件1件あたりに寄せられる問い合わせ数は前年比で平均23%減少し、貸し手側の競争が激しくなっています。
手頃な住まいへの根強い需要
需要の傾向としては、コンパクトで手頃な住宅に人気が集中しています。
- アパートメント:10エリア中7エリアで、スタジオ(ワンルーム)や1ベッドルームへの問い合わせが最多となりました。例えばビジネスベイでは、掲載物件の43.1%が1ベッドルームであるのに対し、問い合わせ全体の48.7%を占めています。
- ヴィラ(一戸建て):10エリア中8エリアで、3ベッドルームまたは4ベッドルームの物件に問い合わせが集まっています。
賃料推移と今後の見通し
ドバイのアパートメント提示賃料の中央値は、2025年12月に135,000ディルハムでピークを迎えました。その後、2026年上半期を通じて徐々に低下し、6月には100,000ディルハムまで落ち込みました。
しかし、2026年9月には105,000ディルハムへと小幅に上昇し、1物件あたりの問い合わせ数も改善が見られるなど、市場が下げ止まり安定に向かう初期の兆候も現れています。
ヴィラ市場においても、10エリア中8エリアで賃料が下落するなど全体的には同様の傾向ですが、アパートメントに比べると下落ペースは緩やかです。例外として「アル・フルジャン」では、5ベッドルームなどの大型ヴィラの供給増加に伴い、賃料全体が15.15%上昇しました。
まとめ:借り手と貸し手それぞれのポイント
現在のドバイ賃貸市場は、借り手にとって有利な局面を迎えています。
- 借り手側:複数の選択肢を比較検討し、家賃や契約条件の交渉を進めやすい好機となっています。
- 家主(オーナー)側:市場の選択肢が豊富なため、単に賃料を下げるだけでなく、物件の状態や掲載写真の質を高め、問い合わせに迅速に対応することが入居者を確保する上で重要となります。
参考記事:Dubai rents fall in most areas as tenants get more choice, bargaining power - Khaleej Times




