
ドバイの賃貸価格が人気エリアで最大12%超の下落へ、完成済み物件の需要が高まる最新市場動向
ドバイ賃貸市場の最新動向
不動産総合サービス大手のサヴィルズ(Savills)が発表した2026年第3四半期(7月〜9月)の市場レポートによると、ドバイの主要住宅エリアにおいてアパートの賃貸価格が前年同期比で大幅に軟化していることが明らかになりました。
これまで力強い上昇を続けてきたドバイの不動産市場ですが、一部の人気エリアを中心に価格調整の動きが見られ始めています。
主要人気エリアでアパート賃料が2桁の下落
同レポートによると、ドバイを代表する住宅地域において、賃料の前年比下落が顕著となっています。
特に下落率が大きかった主なアパートエリアは以下の通りです。
- ドバイ・マリーナ(Dubai Marina):前年同期比 12.8%下落
- ビジネス・ベイ(Business Bay):前年同期比 12.2%下落
- ジュメイラ・ビレッジ・サークル(JVC):前年同期比 10.4%下落
このほか、アル・フルジャン(7.5%下落)、DIFC(7.3%下落)、マジャン(5.1%下落)、ディスカバリー・ガーデンズ(4.3%下落)などでも前年同期を下回る結果となりました。
一戸建て・タウンハウス市場も調整局面へ
アパートだけでなく、一戸建て(ヴィラ)やタウンハウス市場でも同様に価格下落の傾向が見られます。
- アラビアン・ランチズ3(Arabian Ranches 3):前年同期比 15.0%下落
- ダマック・ラグーンズ(Damac Lagoons):前年同期比 13.4%下落
サヴィルズは、これらの戸建てコミュニティにおいても年間ベースでの賃料下落圧力が依然として残っていると指摘しています。
賃貸契約件数は堅調、新規契約が活発化
賃料水準が下落する一方で、賃貸の取引自体は非常に活発です。
2026年第3四半期の総賃貸取引件数は181,900件となり、前四半期(156,200件)と比べて16%増加しました。これは2025年同期の180,600件と同等の高い水準です。
また、契約全体における「新規契約」の割合は、前四半期の36%から44%へと上昇しました。特にビジネス・ベイ、JVC、ジュメイラ・ビレッジ・トライアングル、ダウンタウン・ドバイなどで新規の賃貸需要が高まっており、賃料低下を好機と捉えた住み替えや新規居住者の流入が進んでいることがうかがえます。
売買市場は「未完成物件」から「完成済み物件」へシフト
売買市場においても注目すべき変化が見られます。
2026年第3四半期の住宅取引件数は34,500件で、前四半期比4%減、前年同期比では38%減となりました。取引総額は708億ディルハムで、前四半期の826億ディルハムから14%減少しています。
この取引額減少の主な要因は、開発段階で購入する未完成物件(オフプラン)の需要減退です。オフプラン物件の取引額が613億ディルハムから457億ディルハムへと大幅に縮小した一方、完成済み物件(レディ物件)の取引額は213億ディルハムから251億ディルハムへと増加しました。
これにより、市場の関心が建設中の物件から、即時入居や運用が可能な完成物件へとシフトしていることが分かります。
新規物件の供給ペースは大幅に減速
デベロッパーによる新規プロジェクトの供給も落ち着きを見せています。
- 2026年第3四半期に新規発売された住宅:約5,000戸
- 2026年1〜9月の新規発売累計:約50,000戸(前年同期の137,300戸から約64%減少)
供給ペースが急減したことにより、短期的な市場への供給過多リスクは緩和される見込みです。
今後の市場展望:急激な反落ではなく「再調整」の段階
サヴィルズのリサーチディレクターであるレイチェル・ケナリー氏は、現在のドバイ不動産市場について「暴落や反転ではなく、市場のバランスが整う『再調整(リバランシング)』の段階に入っている」と述べています。
新規発売の抑制と引き渡しの分散により、目先の需給バランスは維持される傾向にあります。ただし、2027年から2030年にかけて52万5,000戸以上の供給が予定されていることから、今後はドバイの人口増加や世帯数の拡大が市場安定のための重要な要素になると分析されています。
参考記事
Rents in Dubai fall over 12%: Dubai Marina, Business Bay and JVC lead | Khaleej Times





